2017/08/19 17:50

 リカーブボウは、身長ないしドローレングスによりボウレングス、つまり弓の長さを選択することになります。ボウレングスは、ハンドルライザーの長さと3種(S,M,L)のリムサイズの組み合わせにより、大まかに64インチ、66インチ、68インチ、70インチにすることができます。すべてのメーカーが同じ基準に基づいて製品を製作していれば、この4種類の規格のストリングが用意されていれば事足りるはずです。ところが、現実にはメーカーごとに、ハンドル、リムの長さが微妙に異なるため、その組み合わせにより適正なブレースハイトに設定するためには微妙に長さの異なるストリングを用意する必要があります。

 主要なメーカーであるHoyt社製のリカーブでも、近年の製品と以前の製品とでは使用するストリングの長さの指定が異なっています。さらに、現在主流のILF式リム接合では、あらゆるメーカー製品との組み合わせも可能になっていることから、事情は複雑になります。一般的に使用されているストリングの材質はHMPEと呼ばれる高密度ポリエチレン繊維であり、軽量で伸びにくく破断強度にも優れているという特徴があります。そのため、長めのストリングをツイストして適正ブレースハイトに合わせればよい、という考え方をする方もいます。しかし、さまざまなストリング原糸が製品化されているように、原料は似通っていても製品毎にメーカーが想定したストリングの性能があるということを忘れてはいけません。過剰なツイストは、ストリングに想定以上の弾力を与えて性能を低下させることに加え、原糸に強いストレスがかかるためクリープと呼ばれる不可逆の伸びが発生し、寿命を低下させる原因となります。こうした理由から、適正な長さのストリングを選択し、ツイストも過剰な回転数にならない範囲で使用するように心がけてください。